- 培養表皮によるニキビあと・きずあと・やけどあとの治療 -
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院長矢永博子の培養表皮による治療経験は、2001年7月 当院開院後
合計157例 です。
(09/06/10 現在) |
当院開院前にも、聖マリアンナ医科大学、久留米大学病院で
400例の培養表皮による治療を行った実績があります。 |
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培養表皮移植の治療は世界的に認められており、この方法を開発したハーバード大学のグリーン
教授にご指導、ご協力いただいた成果です。院長矢永博子は、1985年4月に聖マリアンナ医科大学で、
熊谷憲夫先生とともに、日本で初めての培養表皮移植に成功しました。
以来この方法を研究、治療に応用しています。本来は重傷のやけどの患者さんの命を救うために研究
開発された治療法です。患者さんのわずかな皮膚を採取し、組織工学の技術を用いて培養することに
より、培養表皮は生みだされます。長年の臨床経験により、やけどあと・きずあと・ニキビあとにも応用
可能となり、良い治療成績がえられています。当院は院内に皮膚再生研究所を併設し専属の研究室
職員が日々患者さんがたからお預かりした皮膚を育てています。
従来の治療と何がことなるのでしょうか?
たとえば、ニキビあとの治療として、従来はグラインダーやレーザーでニキビあとのでこぼこした表層を
削る(アブレージョン)手術を行い、その後は軟膏を塗りながら上皮化(傷がなおること)を待つ治療が
主体でした。現在もこの方法は行われています。しかし、その削った皮膚の上に自分の培養表皮を移植
すると治癒が促進され、より短時間で、よりなめらかな、平坦な状態に近づくということがわかりました。
培養表皮による治療の流れ (例:ニキビあと治療の場合)
1) まず受診していただき、培養表皮による治療が適応するかどうかを診断させていただきます。
もちろん内容についての説明も十分にさせていただきます。この時点で治療を希望される場合は、
採血し術前検査として感染症(ウイルス肝炎・梅毒血精反応・HIVetc)・一般検血・凝固系検査を
行います。結果が出るまで数日かかります。感染症検査で陽性の反応が出た場合は他の方の
培養細胞への感染の危険性を考慮し、残念ながら、この治療はお断りしております。
やむを得ないものと考えています。
2) つぎに日をあらためて皮膚採取を日帰りで局所麻酔下で行います。皮膚の採取は、治療目的に
応じて耳のうしろ・わきの下など目立ちにくい場所を選んで行っています。皮膚採取部の傷の処置は
ご自身で行っていただきます。縫合を行って抜糸が必要な場合、遠方の方は当院でなく近くの医療
機関にお願いしてもかまいません。どの部位からどのような方法で皮膚を採取したか、また患者さんが
どこにお住まいかで皮膚採取後のスケジュールは異なりますので、来院された際に打ち合わせを
行っています。
3) 皮膚を採取してから手術が可能な状態まで最短で約1ヶ月半の培養の期間が必要です。
培養に時間がかかるケースもありますし、せっかくいただいた皮膚からうまく細胞が育たず、もう一度
皮膚を採取するケースもあります。
ヒトの組織を培養するということは、図面を引いてモノや建物を作ることとはかなり異なります。
計画・予定通りにいかないこともあります。まずこのことをご理解下さい。植物に水や栄養を与え、
お日様にあたるように大切にして気遣いながら素敵な草花を育てていくような過程をイメージして 下さい。
4) 細胞の状態や患者さんご自身のご予定を調整しながら手術日を決定します。できるだけ患者さんの
希望に沿うように手術日を決めたいのですが、なによりも優先しなければならないのは培養細胞の
状態です。不十分の状態で手術を無理に行ってもよい治療結果は得られません。
5) 手術はニキビあと・きずあと・やけどあとそれぞれ、何に対して治療を希望されるのかで手術方法も
若干異なります。これは当院が患者さん個々の状態に応じて選択しています。たとえば顔のニキビあとの
場合は静脈麻酔と局所麻酔の組み合わせで痛みをとり眠った状態で御本人が希望される部位をレーザー
(日本に数台しかない特殊なものです)で削ります。できるだけたいらな状態に近づけます。その上にあら
かじめ育てていた御本人の培養表皮を移植します。培養表皮の上は特殊な創傷被覆材料でおおわれて
おり、一緒に糸で縫いつけます。その上をガーゼでおおいます。
手術後は北九州近郊の方は日帰りで自宅へもどられますが、当院は全国より患者さんがいらっしゃる
ことが多いので小倉北区内のウイークリーマンションを御紹介しています。(1泊¥4500程度〜、評判は
良いようです) 通院は手術翌日と術後2日目は抗生剤の点滴を当院で行います。
手術創(培養表皮を移植した部位)の処置は、面積・出血・浸出液の程度によりその都度判断して行って
います。培養表皮の治療をさまたげるものとして、感染(細菌感染により培養表皮が溶けてしまいます)
機械的刺激(夜寝ている間に、無意識にひっかいてずれてしまったり、術後に飲酒されて安静が保てず、
ずれてしまうこと)などがあります。できるだけそういったことがおこらないよう私たちも配慮して
おりますが、移植後の療養期間は安静にされ無理のない生活をおくっていただくことについても、
患者さんがたご自身の自覚と努力が必要です。固定部の抜糸は術後5日目を目安に行います。
創傷被覆材がほぼ全体的にとれてしまうのは術後7日目ごろです。この時期の皮膚は機械的刺激に弱く
すりむけたり、出血しやすいので十分注意が必要です。状態に応じて軟膏類を処方します。
以上のスケジュールからするとニキビあとの培養表皮による治療を行う場合、遠方からこられる場合は
手術日を含め8日間の小倉の滞在となります。創傷被覆材・ガーゼ類がとれてからの日常生活については
お帰りになる際に説明します。仕事や学業への復帰の際は、移植部に対して本来はなんらかの保護をする
ことが治療上望ましいので、そのように指導しています。小範囲のうすいガーゼの上を肌色テープでかく
して職場に出たり、カバーマークという化粧品でかくして出たりと皆さん工夫されています。まわりの
方には『こけてすりむいた傷『軽いやけどをした』などの説明をされているようです。この時期の皮膚は、
弱く、赤みが強いです。程度に差はあれ、みなさんにおこりうることは、続発性の色素沈着です。
とにかくまず日焼け対策が大切です。紫外線が大敵なので、患者さんがたに日常行っていただくことは、
日焼け止めをしっかりぬること、直射日光の当たる場所はできるだけさけること、帽子などかぶること、
あまり強くこすらないことなどです。薬物治療としてはビタミンC、トラニラストの内服を行います。
トラニストの副作用は膀胱炎症状です。排尿時の違和感・痛み・頻尿・血尿などありましたらすぐに中止
してください、そして当院に御報告下さい。通常、中止されれば症状は短期間でおさまります。
しつこいようですが移植部の皮膚の赤み・色素沈着は程度に差はあれ一定期間は全員に必ず起こります。
そして約6ヶ月の経過で改善していきます。(個人差もあり、約1年程度の時間を要す方もいらっしゃいます)
この時期の皮膚の状況に一喜一憂せず、あまり神経質にならずに、日常生活に注意して、内服薬や外用
剤を使用してください。その後の定期検診は御本人のスケジュールにあわせて行っています。写真や
メールでも現状報告していただければ、たとえ遠方でも療養上必要な指導ができます。
以上記載したことは、例として顔のニキビあとの治療の場合です。きずあとや、やけどあとなど体の部位も
異なり、面積も異なり、麻酔・手術法・術後の安静・固定法などケース・バイ・ケースですのでやはり診察
させていただいたうえでお話することが適切な回答となるでしょう。
治療結果
私はこれまで20数年にわたり培養表皮についての研究と臨床応用を続けてきました。
私が思うに、この治療法の結果は、みなさんがこうなりたい、ここまでなったらいいなあ、と想像するレベル
の約40〜50%程度だと思います。満足度を数字で表すと意外と寂しい数字です。ですから、過大な期待
は禁物です。ニキビあとのでこぼこが完全にたいらになるわけでもありません。ニキビができはじめる前の
つるつるの肌にもどるわけでもありません。この治療には、確実に限界があります。でもこのホームページ
にたどりつかれた方は、これまでいろいろな治療をうけられてこられ、また勉強もしていらっしゃる方が多い
と思います。あまり結果の出なかった医療行為にたくさんの治療費を支払ってこられた方もいらっしゃる
でしょう。でも、ニキビあと・きずあと・やけどあとの治療に培養表皮以外でこれだけの治療効果をあげら
れるものが現時点で存在するでしょうか? もしあればまずその治療を受けてみてください。
いろいろな治療を試みられて、他に方法がないとご自分で確信をもたれてから培養表皮による治療に
臨まれても良いと思います。私は決して無理にこの手術を勧めることはしていません。ニキビあとは生命や
身体機能に関係ないことです。あくまでも個人の人生観、価値観に基づく治療だからです。
《ニキビ治療》 でほんとうに大切なことは、ニキビがまさに花盛り・もえさかっているときに適切な治療を
継続的に行うことです。ニキビは生活習慣や体質など患者さん個々の要因がとても大きい慢性疾患です。
ですから、《ニキビ治療》と《ニキビあと治療》は根本的に考え方が異なるものだということを理解して下さい。
《ニキビあと治療》は本当に難しい治療なのです。
NEW! レーザーアブレージョン+くりぬき+自家増殖因子成分添加+培養表皮移植法
これまで培養表皮を用いたにきびの治療は凹凸の部位をCO2 UltraPulse laser でけずって自家の培養
表皮を移植していました。この方法では中等度の凹凸には対処できましたが、深い凹凸部分の改善が
不十分な場合がありました。そこで、まず深い部分の凹凸部をくりぬいて切除し、その部位へ本人の
血清から得た増殖因子成分を添加し、さらに培養表皮を移植するという新しい方法を開発しました。
この方法では改善度が向上しました。この治療を受けられた患者さんの写真を参考にしてください。 |