2001年7月 当院開院以来 乳房再建手術・乳頭乳輪再建手術は 4003例です (2019年7月30日 現在)
    アラガン社のブレスト・インプラントについてのお知らせ


 2019年7月25日インプラントの製造メーカーであるアラガン社から、テクスチャードインプラントの製造を中止し、世界的にテクスチャードインプラントを回収する知らせがきました。 また、インプラントが新しいスムースタイプインプラントに変わるとの知らせが来ました。新しいインプラントは10月18日以降に販売開始されるとのことです。

 また、テクスチャードのインプラントは、頻度は少ないですが、ブレスト・インプラント関連未分化⼤細胞型リンパ腫(BIA-ALCL)のリスクがあるとのことです。スムースタイプインプラントはリンパ腫に関与しないとわれています。

 FDA からアラガン社のテクスチャードのインプラントを回収する知らせはきましたが、FDA、EU、カナダにおいても現在すでに手術した組織拡張器やインプラントの摘出や入れ替えは必要がないとのことです。 オンコプラステックサージェリー学会のガイドラインでは定期的に診察やエコー検査をしてくださいとのことです。
 インプラントの周囲に水がたまり、胸が大きくなったり、赤くなる、など症状がでましたらインプラントと被膜を除去すれば治るとのことです。

 まれな疾患ですが、早期発見が重要となりますので自己検診と医療機関での定期検診の継続をお願いします。

オンコプラステックサージェリー学会の情報は下記より参照できます。
http://jopbs.umin.jp/


BIA-ALCLの発生頻度
 現在発表されているBIA-ALCLの発生頻度は、インプラントの出荷数から3817〜30,000に1例とされています。国によって発生頻度の報告はことなり、米国形成外科学会の報告では1/30,000、オーストラリアおよび乳—ジーランドからは1/100〜1/10,000、オランダは1/6.900、カナダは1/24.000と報告されております。本年、日本で初めて1例(17年前にインプラント手術、日本では約20年前から使用されてきた)報告されました。アジアの報告ではタイとシンガポールにおける1例ずつあります。この発生頻度の違いは地理的、遺伝的傾向を示している可能性が示唆されます。ALCLは、他の人工物(整形外科用インプラント、歯科インプラント、注入ポート等)使用症例でもごく希ながら報告されています。
(日本乳房オンコプラステックサージェリー学会、日本形成外科学会、日本乳癌学会、日本美容外科学会(JSAPS))



    再生医療を用いた乳房再建


 2015 年、再生医療等の安全性の確保等に関する法律が公布されこの法律に対応して、当院は 5 つの再生医療の細胞加工施設として認定されました。 その1つである自家培養脂肪移植の再生医療提供施設として認定されました。その他の再生医療として自家培養表皮移植、自家培養軟骨細胞移植、自家培養線維芽細胞注入、自家PRP注入も認定されました。 矢永博子は長年、約 30 年間にわたり、再生医療の研究と治療を継続して取り組んできました。 これらの治療法がこの度、承認されて継続して治療を行うことが許可されたことは喜ばしいことです。患者さんにとって治療の選択肢が増えて本当によかったと思っています。 その豊富な経験をもとに、当院では再生医療を用いた乳房再建を 2 種類行っていますのでぜひ相談して下さい。


ご自身の脂肪を腹部や大腿からごく少量採取して、体外で脂肪細胞を培養して増やしたのち、ご自身の脂肪組織と混合して、体内へ移植するという新しい治療です。 健側乳房に似た柔らかい乳房が形成されること、また冷たい乳房でなく体温と同じ暖かさの乳房が形成できることが利点です。



    乳房再建について


 私が形成外科と乳房再建を始めたのは1985年からです。そのころ、日本の大学に形成外科学講座がある大学は少なかった時代でした。私が務め、学んだ聖マリアンナ医科大学は東京警察病院や慶応大学とともに形成外科のメッカの1つとなる存在でした。今では専門性が強く、1つの大学であらゆる手術を経験することは難しい状況ですが、私たちは耳介再建、口唇顎口蓋裂の先天性の病気の手術、顔面および頭頸部の手術、手足の再建、潰瘍等の創傷治癒、瘢痕ケロイドの手術、外傷の手術、目や鼻の顔面の美容外科など多くの手術を学びました。その経験は今でも大変役立っています。

 また、聖マリアンナ医科大学はその頃、まだ日本ではあまり行われていなかった乳房再建を始めていました。講師の酒井成身先生が中心となり広背筋皮弁と腹直筋皮弁による乳房再建が盛んに行われ、日本中から患者さんがたくさん集まってきました。私もその手術を一緒に毎週のように行っていました。そのとき、私は乳房再建をライフワークにしてゆこうと考えました。そのきっかけとなったことは、再発の患者さんが再建を希望し再建することで明るく前向きに生きようと、すっかりかわったからだと思います。そのころは乳腺外科の先生は乳房がなくても、乳癌の手術が成功して命がたすかればいいという考えが主流でしたので、再発の患者さんが再建するということを決意するのは難しい状況でした。家族の応援がなければできないことです。

 もちろん私が女性ですので、乳房を失うという女性の患者さんの気持ちがよくわかるという点から乳房再建を専門にしたいという考えもありました。聖マリアンナ医科大学から九州の福岡にある久留米大学医学部に勤務し、16年(1985〜2001)間に400例の乳房再建手術を経験しました。また、約20年まえから組織拡張器(expander:TE)とインプラントを用いた乳房再建が日本で行われるようになりましたが、乳房再建は保険適用ではありませんでした。2014年7月から 米国のアラガン社の製品のTEとインプラントが保健収載され、乳房再建は保険適用されるようになりました。多くの女性の患者さんはようやく乳房再建を女性の権利として再建できるようになりました。以前は乳腺外科の先生も患者さんも乳癌の手術のあとに再建ができることを知らなかった方がほとんどでした。こうした背景のもと私は今日に至るまで30年近く乳房再建を継続して行ってきました。

 2001年からはYanaga CLinicを開設し、2018年までに約3000例以上の再建を行ってきました。多くの症例を経験すると合併症は少なくなってきますし、合併症の対応処置に備えることができます。昨年2017年のオンコプラスティックサージェリー学会に登録された合併症の全国平均は、エキスパンダーの二次再建:全国平均は5.1%(うち抜去入れ替え17件)当院は0件、インプラントの二次再建:全国平均は3.3%(うち抜去入れ替えが11件)当院は1.6%(うち抜去入れ替えが0件)と当院は全国平均に比べても安全に行っているのがわかります。

 安全に手術を行うことはもちろん一番重要な点ですが、乳房再建のもう1つ重要なことは整容性です。再建乳房の整容性は患者さんのQOLに直接関係することですから形成外科医は美しい乳房を再建する審美眼を持つ必要があります。ひとりひとりの患者さんの体の状態、生活環境、希望、そしてできることとできないことを理解していただき、常に誠実に治療を行っています。
 
    矢永博子  

 

YANAGA CLINICは
安心の美容外科です。
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