乳がんと放射線照射による皮膚ケア
乳がんの手術や放射線治療を受けられたあと、傷あとや皮膚の状態について、 今どのように感じていらっしゃいますか?
「治療を終えてまだ日が浅く、これからどう変化していくのか不安」という方もいれば、 「治療から何年も経っているのに、皮膚のかたさやひきつれがずっと残っている」という方もいらっしゃいます。
放射線治療から長い時間が経っていても、皮膚がかたくなっていても、 それだけで再建やご相談を諦める必要はありません。当院では、他院で 「これ以上は難しい」と言われた方のご相談も数多くお受けしています。
このページでは、時期によって異なるケアの考え方と、「そろそろ専門的な治療を考えてもよい時期」の目安についてお伝えします。
放射線照射中〜照射後2週間:赤み・皮むけへの対応
放射線照射後の皮膚は強い日焼けや軽いやけどあとのようになります。最初の15回くらいまではなんともないのですが、最後の10回くらいになりますと、徐々に赤くなり、その後黒くなり皮がむけはじめます。これは放射線による皮膚の炎症のため生じる症状です。照射中は放射線科の先生が処方されるリンデロンVG軟膏などを入浴後にぬりましょう。その際、下着が軟膏で汚れるのでガーゼを1枚胸にあてるとよいでしょう。ブラジャーはスポーツブラなどフルカップの緩やかなものがおすすめです。かたいものでこすれると皮膚がいたみます。
放射線照射後の皮膚は思ったより赤くなり、黒くなるのでびっくりしますが、あせらないでください。また、放射線照射しますと汗腺がなくなるのでその部分はあせをかかなくなります。そのため、皮膚がカサカサするようになりますので、保湿剤が必要です。照射後2週間経過以降は、ときどき胸を見て保湿剤をぬってあげましょう。
照射後2週間は皮膚がかたくなり触ると痛いのでなかなか皮膚のケアができません。また術後1ヵ月間は、きずやその周囲がかたくなります。その後約1年かけて徐々に柔らかくなってゆきますので心配しないでください。その間、皮膚のケアをすると早く皮膚が柔らかくなり、拘縮(こわばり)が改善します。
また、お胸のマッサージをすると胸と腋(わき)と腕の動きは連動しているので動きもよくなります。試して下さい。入浴中にバスタブの中で、手のひらで円を描くように手術のきずとそのまわり、腋をマッサージしてください。「よしよし、良くなる良くなる」と考えながらマッサージするのもよいです。体を洗うときもソープのアワで円を描くようにマッサージしてください。
入浴後はヒルドイドクリーム(外科の先生が処方してくださいます)やマッサージ用クリーム、スクワランなどのオイルといった保湿剤をつけてマッサージしてください。
ときどき患者さんの中には傷あとを見たくないので、胸をまったく見ないでお風呂にはいっているという方がいます。そういう方の胸をみますと、垢(あか)だらけになっていることがあります。体を清潔にしないと菌に感染する可能性がありますので気をつけましょう。
乳房が変形したり、全摘のため乳房がなくなってもそれは乳房のせいではありません。よく頑張ったとねぎらってあげましょう。ですから、毎日きれいにしてやさしくマッサージをしてあげましょう。そうするとあら不思議、手も動かしやすくなります。ものごとはよくもわるくも考え方しだいです。Positive thinking!
術後1ヵ月〜1年:拘縮・こわばりとセルフケア
乳がん術後1ヵ月は皮膚がかたくなり触ると痛いのでなかなか皮膚のケアができません。また術後3ヵ月間は、きずやその周囲がかたくなります。その後約1年かけて徐々に柔らかくなってゆきますので心配しないでください。その間、皮膚のケアをすると早く皮膚が柔らかくなり、拘縮(こわばり)が改善します。
また、お胸のマッサージをすると胸と腋(わき)と腕の動きは連動しているので動きもよくなります。以下のマッサージをぜひ試してみて下さい。入浴中にバスタブの中で、手のひらで円を描くように手術のきずとそのまわり、腋をマッサージしてください。「よしよし、良くなる良くなる」と考えながらマッサージするのもよいです。体を洗うときもソープのアワで円を描くようにマッサージしてください。
照射後1ヵ月を過ぎたころからは、保湿によるケアが大切な時期になります。当院では、乾燥が気になる部分の保湿ケアの選択肢の一つとして、院長が開発した保湿美容液「ヒロコステムセラムエッセンス」をご案内することもあります。もともとはお顔用に開発されたものですが、乾燥しやすい照射後の皮膚にお使いいただくことができます。
※ヒロコステムセラムエッセンスは化粧品であり、医薬品ではありません。特定の症状の治療や改善を目的とするものではなく、保湿を目的とした製品としてのご案内です。
皮膚のかたさ・ひきつれが、時間が経ってもよくならないと感じたら
放射線治療から何年経っていても、皮膚がかたくひきつれていても、それだけで諦める必要はありません。まずは、なぜそうなるのか、そしてどう考えればよいのかをお伝えします。
なぜ皮膚はかたくなるのか
放射線治療を受けた皮膚は、治療から徐々に「線維化」と呼ばれる変化を起こすことがあります。皮膚や皮下の組織にコラーゲンが増えてかたくなり、周囲の組織と癒着することで、突っ張るような感覚やひきつれを生じさせる症状です。
これは、治療直後に見られる赤みや皮むけとはまた別の、時間をかけてゆっくり進む変化です。そのため、「治療からもう何年も経っているのに、今になって皮膚がかたくなってきた」と感じる方は、決してめずらしくありません。
セルフケアで様子を見る時期と、専門的な治療を考える時期
術後半年から1年ほどは、マッサージや保湿といったセルフケアによって、皮膚が少しずつ柔らかくなっていくことが期待できる時期です。しかし、1年以上経っても皮膚のかたさやひきつれがあまり変わらない、あるいは年月とともに徐々に強くなってきたと感じる場合は、セルフケアだけでの改善が難しい段階に入っていることを示しているとも考えられます。このような場合は、専門的な治療によってアプローチできることがあります。「まだ大丈夫だろう」と様子を見続けるよりも、一度、今の状態を診てもらうことをおすすめしています。
他院で「これ以上は難しい」と言われた方へ
当院にご相談にいらっしゃる方の中には、「他院で、これ以上の再建や皮膚の修正は難しいと言われた」という方が少なくありません。放射線による皮膚の固さや血流の状態によっては、通常の再建手術が難しいと判断されることがあるのは事実です。ですが、自家脂肪移植をはじめとした再生医療的なアプローチによって、硬くなった組織そのものに働きかけられる場合があります。他院で難しいと言われたことが、必ずしも「どこでも不可能」という意味ではありません。よろしければ一度、当院にご相談ください。
どのようなアプローチがあるか
具体的な治療方法は、皮膚の状態やこれまで受けられた治療内容によって異なりますが、代表的なものの一つが自家脂肪移植です。ご自身の脂肪を採取して固くなった組織に注入することで、皮膚や皮下組織にアプローチする方法で、放射線後の皮膚に対しても選択肢となる場合があります。効果や適応には個人差があり、すべての方に同じ結果をお約束できるものではありませんが、まずはどのような選択肢があるのか、診察の中でお話しできればと思います。
自家脂肪移植をはじめとした乳房再建の方法については、それぞれの特徴や回数の目安を「乳房再建の方法・比較」ページで詳しくご紹介していますので、あわせてご覧ください。
ご希望の方は、下記お申し込みよりご連絡ください。
お申し込みいただきましたら、閲覧可能なアドレスをご案内させていただきます。
*お申し込みいただきました情報は、症例の返信のみで利用いたします。